ここにしかない物語を添えて。

ワインの世界には「ドメーヌ」と言われるスタイルが根づいています。
醸造家たちはワイナリーのそばに自らの畑を持ち、
葡萄を栽培するところから、始めます。
そして、何より葡萄について語るたくさんの言葉を持っています。

日本酒の原料は、お米です。
私たちは日本酒の造り手として、お米に責任を持ちたいと
考えました。それを知らずして、日本酒を語って良い物なのか?
と自問しました。

そして何より自ら耕作したお米で、日本酒を醸したいと考えました。

それは、農と醸の深く高い隔たりを乗り越える事でもありました。
毎年起こる田圃のドラマを語れる資格を手に入れるには、その地に移り住み
田植えから収穫まで責任を持ち、そのお米で、自ら日本酒にする事で、完結する。
そんな思いから、黒田庄で2010年から稲作が始まります。

黒田庄で、米を育てる。

兵庫県・黒田庄は、山田錦の育成条件が揃う数少ない地域の一つです。
山田錦は、数ある酒米の品種の中でも、私たちの求める理想を具現化してくれるポテンシャルのある品種です。
エレガントの中に、気品と優しさを与えてくれ、良き熟成を生み出します。

お米には原産地があります。それは気候・土質などが異なり、黒田庄は、日照時間・降水量・気温推移・寒暖差などから最適地となっています。
ここで育てられた山田錦は、お米、一粒、一粒が重くなり、日本酒にストラクチャーと複雑味と多種な香りを生み出します。だからこそ、私たちは蔵のある愛知県・名古屋から離れた黒田庄の地で、お米を育ててきたのです。

黒田庄で、農を変える。

米を育て出した当初は、どんな米を生み出せば良いのか、判りませんでした。
「自分の手で育てたい」という強い思いはありましたが、実際どんな方向性のお米を、どうやって栽培したらいいか、まったく判らなかったのです。
今思えば恥ずかしい限りです。

「そもそも米ってなんだ?」
「米と言う植物は、どこから来たんだ?」
「ルーツは?」「歴史は?」
「日本の米に対するアイデンティティは?」
「日本人にとって、お米の存在理由は?」

原点に立ち帰させられました。
お米の起源に、さかのぼり見つめ直す事から始まりました。

だからこそ、今の当たり前を、当たり前と思わずにメスを入れられた。
今では「米に新しい光を当ててやることが、できている。」
そういう自負が芽生えてきています。

自分たちの田圃があるから、できることがあります。
初めから農家じゃなかったからこそ、できることがあります。
収穫量を求めず、一粒にポテンシャルを求める事こそ、
私たち日本酒の造り手が自ら栽培する意義なのです。
だからこそ、素晴らしい山田錦を得られるのです。

黒田庄で、蔵を建てる。

2010年より、黒田庄で山田錦の栽培を始めました。
毎年、山田錦を育てている内に、この黒田庄で米を育て、そのまま、この地でSAKEまで醸したいという気持ちが募るようになります。

「21世紀の日本酒のあるべき姿」の一つとして、「田と蔵の直結」を目指し、
黒田庄の田の中に新しい蔵を持つこと。私たちの新しいトライが始まりです。

このアクションの先に、日本酒の新たな価値を創造し、「日本蔵の新しい姿」と、
その「中味」、そして「価値観」を、皆様にお届けできるものと考えています。

私たち日本酒屋が田を自ら耕すことで、米の価値、田圃の価値、米農業そのものの存在感を高め、皆様にSAKEを通して
お米のアイデンティティをお届けできればと考えています。

※写真はCGとなります。
「Domaine Kurodashō」からの本格的な商品のリリースは、
2021年春以降を予定しております。今、暫く、お待ちください。